Meiso(外人21瞑想)ってどんなラッパー?ハワイと日本のバイリンガルを特集する

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今日は日本とハワイの二拠点で活躍するラッパーMeisoをご紹介する。

Meiso a.k.a. 外人21瞑想プロフィール

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ハワイと日本を拠点に活動するラッパー。外人21瞑想として参加した2003年の『B-BOYPARK』で初出場にして優勝し、一躍名を上げた。2013年に『イテツクアカツキ』、2017年にアルバム『Rokuro』をリリース。ハワイのレーベル、SIQ Recordsから作品をリリース。現在はmeditative records代表。

 

フリースタイラーとしての実績

Meisoが一躍有名になったのは2003年の『B BOY PARK』の優勝がきっかけだ。当時の日本で最も大きなフリースタイルバトルの大会『B BOY PARK』(UMBは2005年から始まった)。2003年はMC漢、ERONE、FORK、般若といった現在レジェンド級のMCもこぞって参加していた。にもかかわらず、ハワイから一時帰国中だった無名のMeiso(外人21瞑想として参加)が飛び入り参加し優勝をかっさらった。

ラッパーとしての特徴

Meisoとはどんなラッパーなのか。Meisoというラッパーの特徴をまとめる。

Meisoのラップの特徴

日本語だからこそ表現できる繊細なリリック

Meisoはバイリンガルラッパー。高校生の頃にハワイへ移住し、英語もネイティブだ。そんなハワイと日本にルーツがあり、複数の言語を操る彼だからこそ言葉へのコダワリがラップに強く表れる。日本語だからこそできる繊細な表現や言葉遊びが随所にみられる。

淡々とラップするスタイル

Meisoはしばしば淡々とシンプルに韻を踏むような歌い方をする。ボキャブラリーが豊富で一節一節がユニークなのでフローがなくても格好いいのだが、一見すると単調なラップに聴こえるかもしれない。しかしこれは意図的にやっていることだと思う。
あえて単調なフローを繰り返すことによって、詞を強調する。よくよく聴いたら初めて気付く言葉遊び。そんな何層にもなったリリックが彼の持ち味だ。詳しくは具体的な例を出して後述する。

力の抜けたアティチュード

Meisoは音源でもバトルでもとても力が抜けている。特にバトルではガンガン相手をDisする攻撃的なラッパーが多いなかで、彼のリラックスした態度は異彩を放つほどだ。風に漂うにラップする彼の言葉には、見栄や嘘が全然感じられない。ヒップホップに馴染みのない人でも嫌な感じがしないラッパーだと思う。

 

2016年胎動MCバトル決勝-Meiso a.k.a.外人21瞑想 vs 輪入道

最近では胎動MCバトルの決勝戦、輪入道とのバトルが話題になった。
8小節4本勝負。結果は僅差で輪入道の勝利だった。
日本語ラップで使われる外来語について互いの主張がぶつかった。
バイブスで押す輪入道とそれをのらりくらりかわすMeisoのスタイルの違いが際立った。

あとからじわじわ味がしてくるリリック

Meisoのラップは音源もバトルもあとからジワジワ効いてくる深い味わいがある。以下はバトルの一部引用。

黒幕、つまりFixerのように表れたみたいだけど映画の魅せるPixar.
Yo!俺がこの場につくる三次元。3Dみたいな感じ。
お前のラップ聴いてればSleepy.

「フィクサー」から続く一連のライミングは圧巻で、輪入道が口にした「黒幕」からディズニーのピクサー映画の話を絡めながら最後に、「スリーピー」というDisで落としている。ユニークな切り口かつ、客もあげる。

外来語みたいなことを使っていれば格好いいと思ってるその態度が日本語ダサくしてるってことを考えてみないと

今回のバトルで最も強烈だったパンチライン。M○ther F○ckerと発言した輪入道に対して、日本語ラップの態度を問うセリフ。韻も踏んでいて気持ちが良く入ってくる。

音源紹介:『nakanaka』

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バトルよりも音源に力を入れているMeisoだが、その中でも今回は『nakanaka』という楽曲をご紹介したい。Meiso “Nakanaka” (Music Video)
この曲はぼくも大好きな曲の一つで、聴くたびに元気をもらえる。EVISBEATSプロデュースの楽曲でトラックがとても格好いい。ロードムービーのようにさまざまな景色が映し出されるPVもとても美しい。

淡々と語られる「生きる喜び」

この曲がなぜいいのか。まずはリリックの一部を簡単にご紹介。

『nakanaka』のリリックの一部引用

腹が減って より飯がうまくて
働いて より休み深くて
好きな子に好かれてるって知った日
空に飛んできそうで実際

(中略)

昇進、そりゃめでたいな
失敗しちゃ、そりゃ、ケセラセラ
鬚そって、髪きって、身だしなみ
気持ちよく歩く夜の町並み

(中略)

真実 経験から学んで
アホか くだらなさに笑って
仲間とグラスをかち合わせ
安上がり 召し上がる 幸せ
初めて手つないで歩いた日
初めて娘が立って歩いた日
思わず微笑み交わす 気持ちよさ
生きてるってなあ なかなか いいもんだ

誰もが経験したことのあることや、ごく普通のこと、特別ではないことを愛でる詩。淡々と語られる生きる喜びに、思わず胸が締め付けられる。
普段何気なく過ごしている日常のなかに喜びを見出すことは意外と難しい。目の前の辛いことやタスクに忙殺されている大人に、シンプルな幸せを教えてくれるのがこの曲の詩だと思う。ラップを聴いていても、文字を書き起こして眺めてみてもMeisoらしい力の抜けた空気感が伝わってくるだろう。

まとめ

今回はハワイと日本のバイリンガルラッパー、Meiso a.k.a.外人21瞑想をご紹介した。
ぜひ他にもかっこよくて気持ちの良い音源作品が多数あるのでチェックしてみてほしい。
アルバムなら2017年に”Sunshine and Coconut Water”が特におすすめだ。
ドライブにもってこいの聴き心地の良いアルバムになっている。


Sunshine and Coconut Water

Meiso&Muzono
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