昨年決勝で宿命のライバルGADOROに敗北したMOL53だが、2018年もあと一歩で優勝に届かなかった。
KOK2018の紹介ムービーでは6人目として登場したMOL53(RAWAXXX)。
今日は彼の等身大で嘘のないリリックをご紹介したい。
目次
RAWAXXX(MOL53)のプロフィール
RAWAXXX(MOL53)
1990年生まれ。宮崎県出身。
高いヴァイブスと独特の声質が特徴的。
2012年のUMBで準優勝し、一気に名を上げた。その後も精力的に活動を行い、フリースタイルでは全国でも屈指の実力を持つ。
2016年に2ndアルバム『ANTITHESIS』を、2015年に1st『REVIVAL』をリリース。
MOL53がRAWAXXXに改名した理由は?
残念ながらmcネームを変更した理由は明確に発表はされていません。ただ近年KOKであと一歩のところで優勝を逃すなど、悪い流れを断ち切るために心機一転mcネームを変更したのではないでしょうか。実際に改名後、2019年現在のRAWAXXXの活躍は凄まじいものを感じます。ちなみに「MOL53」→「RAWAXXX」に変更したのではなく、以前から「MOL53 a.k.a.RAWAXXX」と名乗っていた場面があったようです。
KOK2019はRAWAXXXが優勝
KOK2019年に念願のチャンピオンシップを獲得。
以下のページに情報をまとめています。
MOL53ってどんなラッパー?
ローカル宮崎県を背負って立つMOL53とはどんなラッパーなのか。
MOL53の特徴を以下にまとめてみた。
- リアルなリリック
とにかく攻撃的でリアルなリリックが彼の持ち味。バトルでも当然コンプラの入る汚い言葉やスラングも頻出する。韻を踏むためのラップなどは絶対にせず、曖昧な言葉遣いもないのが彼のライミングの特徴。 - リズムキープの鬼
バトル、音源に関わらずMOL53のリズムキープは極めてレベルが高い。特にバトルでここまでグルーヴ感を維持したまま相手を的確に刺すことができるラッパーは少ないだろう。 - 特徴的な甲高い声
ラッパーにとって『声』というのはとても大切な要素。ドスの利いた低い声のMCが多い印象だが、そのなかでもMOL53の甲高い声というのは目立つ。 高い声から放たれるストリート色の強いリリックにギャップが効き、彼の特徴になっている。 - アティチュード
ステージ上ではふてぶてしく強気な態度を崩さない。バトルでは相手を小馬鹿にするようなアクションをよく取る。あくまでレペゼンストリートだ。それは彼も意図的にやっているようで、楽屋などのインタビューで見せる表情は柔らかい。
あくまでヒップホップにこだわる姿勢
最近では高校生ラップ選手権やフリースタイルダンジョンなど、これまでヒップホップを聴いてこなかった人でもヒップホプに触れる機会が増えている。それ自体はいいことだけれど、ブーム化の裏ではヒップホップが消費されることも事実。
彼はラップブームには乗らず、大衆に受けるような態度は取らない。だからこそ彼のリリックは他者とは異なり攻撃的で痛々しい印象を与える。観衆をアゲルのが目的ではなく、あくまで自分のヒップホップを表現することが大切なのだ。
番組でも放送禁止用語にピー音が入ったりするワケじゃないですか。ピー音が入るのは仕方ないじゃないですか、そうしないと放送できないんだから。だけど、実際、放送禁止用語やスラングは出るモンなんだし、それでも(番組を)やってるわけだけど、それでHIP HOPを世間に分からせようっていうのは無理ですよ。そういう状況になったから、俺の中では結論が出て、そういう大衆寄りのマーケットのことは気にしなくていいと思うようになってます。自分の納得できる規模だったら、小さくてもお金になるし。俺の思う“ストリート”っていうのはラップだけじゃないんで。https://amebreak.jp/column/1446/2
KOK2018でのRAWAXXXのフリースタイル書き起こしと解説
そんなMOL53がKOK2018の紹介VTRで見せたフリースタイルを最後に紹介する。
6分15秒位からがMOL53のフリースタイル。ビートなしのアカペラだ。
以下リリックの書き起こし
フリースタイル書き起こし
悪いことは言わねえ
人生やり直せる奴はやり直せ
他の道を当たれマイクを握る資格もねえ
ってわけじゃねえけども資格の地雷
Yo 未来を見えてねえ奴にガイダンス
悪いことは言わねえ
ここはストリートカルチャーの発展途上
Yo だから悪いことは言わねえ
マイクとペンを置いて早く日常に戻れ
悪いことは言わねえ
クラブに来ても頭振るだけで終われ
酒に費やしていく金
Yo そんなのも必要ねえってくらいに思わせる
MCはペンとマイクを持て
喋り続けるぜ 人の前にたて
そこに礼儀も建前も必要ねえ すべてが本音
嫌われたらそれまで 好かれたらそれまで
I break “Don’t test da Master”.
マイクチェックじゃ終わらねえ
YEAH KOK!1月年越ししたらすぐに模様替えする
シーンに一発入れてくぜ
期待しとけ業界人
Yo 俺は評価させられねえ
Yo マルでもバツでも判断できねえ
1点でも0点でも付けといてくれ
俺は昔から赤点レペゼン
ガキ大将 Yeah!遊び続けるのみ
何度も淡々と繰り返される『悪いことは言わねえ』というフレーズ。まだまだ発展途上のシーンで成り上がるのはとても険しい。それは名を上げてからも様々な苦しみを経験してきたMOL53が言うからこそ重みがある。またブームに乗っかるフェイク(偽物)への皮肉にもなっている。
>酒に費やしていく金
Yo そんなのも必要ねえってくらいに思わせる
MCはペンとマイクを持て
彼自身ヒップホップの発展を願っているのだ。
それと同時に彼の「自分はこれしかない」という覚悟がヒシヒシと伝わってくる。
熱い想いに胸が締めつけられるリリックだ。
まとめ
今日はRAWAXXX(MOL53)のラッパーとしての特徴についてまとめてみた。硬い韻で気持ちのよいラッパーも良いが、MOL53のようなゴリゴリのストリートラッパーにもたくさん魅力がある。ぜひ音源やLIVE情報など調べてみよう。現場が一番おもしろい。
今年UMBはどんな感じやっちゃろか?今のバトルシーンはガキの溜まり場やけど変わるまで待つのはやめようかな。さぁ、今年はコピーキャット共を殺す
— MOL53 (@xochiox53) 2015年1月4日