黎明期からフリースタイルダンジョンを支えてきた般若が5月7日放送のフリースタイルダンジョン番組内でラスボス引退を発表した。今日は般若の引退発表に伴って行われたラストバトルと2代目ラスボスR指定の胸中についてまとめる。
ラスボス般若が引退を発表
番組冒頭でそっけなくシンプルな言葉で般若は静かに語りだした。
「僕から言いたいことがあります。本日をもってラスボスを降ります。これはいつの日か決めていたことです。本当にありがとうございます。」
引退する理由については触れられなかったが、番組が次のステージに上がるため、自身の意志で身を引いたのには間違いない。以下はフリースタイルダンジョンでの戦歴。
■ 般若フリースタイルダンジョン戦歴
- 焚巻戦(般若勝利)
- 崇勲戦(般若勝利)
- じょう戦(般若勝利)
- NAIKA MC戦(般若勝利)
- 晋平太戦(晋平太勝利)
- peko戦(般若勝利)
- Lick-G戦(Lick-G勝利)
- MCニガリ戦(MCニガリ勝利)
- SIMON JAP戦(般若勝利)
全9戦 6勝3敗
2代目ラスボスは「R-指定」に決定!
引退宣言と同時に2代目のラスボスを引き継ぐラッパーも発表された。指名されたのはR指定。最強の実力で般若らと一緒にフリースタイルダンジョンを盛り上げてきたオリジナルメンバーだ。
般若は「次は誰がラスボスになるのか。そのラスボスになる人と現役最後に闘ってみたい。」とコメント。ラストバトルの相手R指定をステージにあげる。
R指定の般若への想い
4年前の番組内でR指定は般若に対してこんなコメントを残している。
寡黙でストイックな部分もあり、ユニークな部分もある。俺は中学生のときにラップにハマったんですけど、Zeebraさんの「TOKYO’S FINEST」ってアルバムを聴いて。それに入ってる最後の曲の最後のバースで般若さんが出て来たんですよ。そこで初めて聴いて。「なんやこの人は」と。こんな熱量を持った、こんなラップをする人がいるんだと思ってそこから般若さんを好きになって。中学時代からの俺のヒーローなので。「俺が般若」というだけで格好いいラップというか。人間でラップしている人やなとは思いますね。
般若へのリスペクトがありありと伝わってくるインタビュー。R指定は自身のヒップホップの原体験にいる相手からバトンを受け取ったのだ。ひとりのラッパー人生の物語として感動的な展開だった。
般若 VS R-指定 新旧ラスボス感動のラストバトル
ラスボス最後の試合はR指定との3番勝負。最終的には勝敗の判定なし。3ラウンドすべての明快なダイジェストを見つけたので掲載させていただきます。
般若引退試合 ROUND1
R-指定 vs 般若バトルヘッズが待ち望んだ初代ラスボスと二代目ラスボスのバトル。
R-指定、般若共にお互いリスペクトが溢れるほど詰まったバースを蹴り、観衆を盛り上げた。結果は初代ラスボスの威厳とバイブスの高さで般若がクリティカルヒット。#フリースタイルダンジョン pic.twitter.com/y9VcAZRVC2— 和覇 (@kazu10_kazu10) 2019年5月14日
般若引退試合 ROUND2
R-指定 vs 般若般若がビートであるANARCHYのFateの「下駄箱に置き去りのハイヒール」を「ガキの頃 置き去りのシューズ」とサンプリング。「最低のMC」である般若に対し、Rが「愛を込めて 般若 最低」とバースを締め、Rがクリティカルヒット。#フリースタイルダンジョン pic.twitter.com/SGSCLxQimB
— 和覇 (@kazu10_kazu10) 2019年5月14日
般若引退試合 ROUND3
R-指定 vs 般若般若にとって最後のMCバトル。
二代目ラスボスになるRに熱いメッセージを伝達し、感謝を伝えて初代ラスボスの役割を果たし、Rは最後に「般若 感謝」と落とし、想いを伝えた。結果としては審査をするのは野暮と判断し、勝敗はなし。#フリースタイルダンジョン pic.twitter.com/YYPcTBKgkS— 和覇 (@kazu10_kazu10) 2019年5月14日
当日、ライブパフォーマンスをしたKEN THE 390は以下のコメントを残している。
MCバトルがただの罵り合いだと思っている人も、今週の般若 vs R-指定を見ればきっと伝わるものがあると思う。 生身の人間同士が向き合って、この形でしか伝えられない思いをぶつけ合う。最高でした。#フリースタイルダンジョン
— KEN THE 390 (@KENTHE390) 2019年5月14日
今後のフリースタイルダンジョンの動向
R指定は誰もが認める日本で最高峰のバトルMCだ。般若のような格や経験はないかもしれないが、UMB3連覇を成し遂げた溢れる才能を発揮してバトルシーンを盛り上げてくれると思う。二代目を中心にもっと盛り上がるフリースタイルダンジョンが見てみたい。
そして、2代目ラスボスは最初の仕事として、引退するレジェンドの偉大さ、人間的な器の大きさを引き立てた。これだけ多くのMCを束ねてヒップホップを盛り上げてきた、その中心にいたのは間違いなく般若だった。
これからの般若の動向は詳しく発表されていない。だがMCバトルを完全引退する可能性は高い。事実、般若はフリースタイルダンジョンが始まるまで表舞台では長らくバトルはしてこなかった。今後は音源制作やプロデューサー業で力を奮うだろう。
最後に。オーガナイザーのZeebra、日本のヒップホップの源流 いとう せいこうが見守る中、2人がラップする光景は、なにより贅沢な景色だった。